まあ、それはいいとして、石鹸シャンプーを使い始めたのは23歳からだったな、確か。今日寄った店を誰かに紹介して貰って、そこで買い始めてた訳だが。なぜに、石鹸シャンプーかと言えば、ずばり、ハゲ防止。と言うのも、大学時代は、アパートの近所にある大家さんの知り合いの床屋を紹介されて、ずっとそこを利用していたのだが、4年次に、その床屋でカットの後の洗髪をしていたときに次のような悪魔の囁きを聞いた。
「前髪薄くなってきたから気をつけんと無くなるぞ」
・・・・・ん??今、前髪薄くなったって、オヤジ言ったよな?え??でもそんな自覚症状ないぞ。ひょっとして俺の空耳か?・・・・・
人間というのは、自分が全く予期しない出来事に遭遇すると、何が起こったのかを正確に理解し受け止めることができない。まさにその時の俺がそうだった。オヤジに「今、前髪薄くなったって言った?」と確認すれば済んだことなのだが、動揺の為、確認することができず頭の中で「そんなはず無いだろう。俺の空耳だよ。きっとそうだ。」みたいな思いが駆け巡っていたのだった。
その後、アパートへ帰った俺は直ぐにドレッサーの鏡で前頭部の生え際をチェック。う〜ん、どこが薄くなっているんだ??やはり俺の空耳だろう。念のため、大学寮に住んでいる友人を訪問。「俺、今日、床屋で前髪が薄くなったって言われたような気がしたんだけど、そう思う?」と尋ねたところ、「いや、全然」との事だったので、取り敢えずは安心したのだったが・・・。
しかし、ずっとそのことは気がかりだった。それからしばらく時間が流れ、おそらく卒業した後のことだったと思う。ある時、家の脱衣所の鏡の上にある蛍光灯のスイッチを入れて洗髪後の髪をとかしていた時、
「す、透けてる・・・、前髪の地肌が・・・Ohーーー、Noーーー」
そこには、明らかに前髪の密度が薄くなった俺の頭皮が照らし出されていた。あの時の衝撃は忘れることができない。あの床屋のオヤジが言ったことは本当だった。空耳ではなかった。
それ以後、それまで使っていた合成洗剤系のシャンプーを止め、石鹸シャンプーに変えて今日に至っている。当時、同期入社だが年齢が俺よりやや上の人で頭頂部が既に薄くなり始めている人がいて、その人と「薄毛悩み相談会」を開催していたところ、その人も石鹸シャンプーを使用していることが判明。
「石鹸シャンプーって泡立ち悪いんだよねえ〜〜」
〜〜〜はははは、確かにその通り。発泡剤?の入った合成洗剤系のシャンプーに慣れているとあの非泡立ち観は最初の内、気になる。がしかし、直ぐ慣れる〜〜〜。
髪の毛を気にする男連中は結構いて、そんな俺達の会話を聞きつけ、後輩でまだ10代だったさらさらヘアーの○○君が、
「僕も最近気になってるんですよ〜〜。その石鹸シャンプーってどこに売ってるんですか?」
と聞いてきたので、丁寧に教えてあげた(爆笑)。
まあ、石鹸シャンプーへの切り替えが功を奏したか否かは分からない。でも、20歳前後のもっとも髪に張りと勢いがあった頃に比べたら確かにボリュームは減ったとは言え、ハゲ状態には陥っていない。俺の親父はツルっパゲではないが、頭頂部が薄い。前方から見ると髪の毛がフツーにあるように見えるが上から見ると頭頂部全体が薄い。確か、親父が俺の年齢の頃には、既に薄くなり始めていたよなあ〜と思いつつ、俺は危機を回避した、きっと大丈夫だと思う今日この頃である。
しかし、俺は個人的には、ジェームズ・ボンドを演じたズラの2枚目ショーン・コネリーよりもズラを外した晩年の渋い役どころのショーン・コネリーが好きだ。外国の役者には、ハゲでも「カッコイイ」と言われる人が沢山いると思うが、日本ではついぞそんなことは聞かないな。日本では、ハゲの2枚目というのは成立しないのか?と言うよりも、若い頃の2枚目イメージをそのままの形で維持しようとするからホントはハゲてんのに、ハゲてませんっつってズラ被ってんのか(笑)。日本では、ハゲを笑いのネタやもてないイメージを貼り付けるから印象が悪くなって、世の男性諸氏の「ハゲたくねえ〜〜」病を発病させ、頭髪・ズラ産業の隆盛を下支えしているのではないだろうか。
でもやっぱり、髪はなが〜い友達(古)でいて欲しい。