2006年05月20日

憲法 第10章 最高法規

【第97条】
 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

【第98条】
 この憲法は、国の最高法規であつて、その他規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
 日本国が締結した他約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。

【第99条】

 権力者は、恣意的に権力を行使し人民を抑圧しがちである。国王などの特定の統治者による専断的な支配体制下では、その他大勢の人民は統治者のご機嫌を損ねない範囲内の自由しか享受できない。生殺与奪の権は統治者が握っているのである。
 しかし、人民はそれに甘んじることなく歴史的過程の中で、王権などの絶対権力を打倒し自らの自由と権利とを獲得してきた(市民革命)。勿論、その闘争の中で犠牲になった人民も多数いただろう。
 そうした「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果」は、常に権力者によって侵奪される危険に晒されながらも「過去幾多の試練に堪」えて今日に継承されているのである。
 このことを表したのが第97条である。憲法に保障された基本的人権は、空から降って来たものでもなければ、日本人のみの力で獲得したものでもない。人類の自由獲得の為の闘いの歴史とその成果とによって「現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利」として与えられたものなのだ。そうした歴史の中で獲得し得た人権の保障こそが憲法の中核であり、かつ、憲法が最高法規たる実質的根拠はそこにある。換言すれば、第97条は、憲法の実質的最高法規性を表現したものである。

 この通り、人権保障の法たる憲法は最高法規であるから、それに反する、すなわち憲法の人権保障をないがしろにするような法律などの効力は否定される。そのことを表したのが第98条である。

 もっとも、人民にとって憲法は自らの自由・権利を確保するための最高法規であるが、権力者にとっては自分の手足を縛る鎖である。権力者は何かと言えばその鎖を緩めたり、解いたりしがちである。そこで、憲法を破壊しないよう権力者達にそうしたことを禁ずる命令をしているのが第99条である。

 以上の通り、憲法の最高法規性を定める第10章は、憲法を最高法規とすることで、特定の権力者による専断的・恣意的な権力行使による支配を認めないことを趣旨としている。これは、全ての公権力(者)は正しい法(人権保障の法たる憲法)に拘束されるとする原理である「法の支配」の一内容である。歴史的過程の中で国王などによる「人の支配」では人民各個人の自由な人格の形成発展は望めないことを経験的に知った人類が、「人の支配」から権力者に手枷・足枷をはめる「法の支配」へと統治形態を発展させたのである。

【関連】
第99条 憲法尊重擁護義務
不逮捕特権と議員の資質
【TB】
遅ればせながら 『週刊金曜日』国民投票で勝つために


posted by 闘うリベラル at 06:39| Comment(1) | TrackBack(3) | 憲法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
第99条を事実上破ってきたのが政府与党です。
そして改憲なんかを持ち出してきた。
そのうえ主権在民を転倒させる規定をもってきています。国家権力は現行憲法の規定そのものが気に入らないわけです。彼らが持ち出してきているのは反動的な憲法そのものです。そもそもが憲法尊重擁護義務を破っているのが政府与党だと思います。共謀罪もめちゃくちゃですが、自民党の改憲攻撃もめちゃくちゃなのです。
Posted by 日本国憲法擁護連合 at 2006年05月20日 02:03
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