2004年06月15日

法の下の平等と皇位継承(2)

 皇室典範 第1条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。
 「法の下の平等」を定める憲法14条は、「性別」による差別を具体的列挙し、それを禁じている。そうすると、上記の条文はいかにも憲法14条違反であるとも思える。なぜなら、「男子」のみに皇位継承資格を与え「女子」にはそれを与えておらず、「性別」による差別に当たるからだ。

 更に、当該条文は、皇位継承資格として「男子」とのみ定めている訳ではない。「皇統に属する男系の」という制限が付されている。つまり、天皇の血統(血筋)の流れを汲む男性皇族の下に生まれた男子しか皇位継承を認められていないのである。例え、皇族の血筋を受け継ぐ男子であったとしても母親が皇族であって父親はそうでないという場合には、皇位継承資格はない。なるほど、皇室典範は徹底した男子優先主義を採用している訳だ。これは確かに女性差別だろう。

 しかしちょっと待て。

 男性である諸君、あなたもまた天皇にはなれないのである。前述した通り、「皇統に属する」「男子」であっても「男系」でなくては天皇になる資格がないのであるから、その他大勢の男性諸君も当然、天皇になる資格はない。

 とすると、皇室典範は、女性のみならず男性をも差別していることになる。つまり、天皇という地位自体が一般国民を差別することによって成立しているということだ。天皇になるための機会均等など存在しないのであるから。

 言うまでもなく天皇制は憲法第1章に規定された制度であるが、前述の通り、一般国民を差別することによって成立しているこの制度と憲法14条の「法の下の平等」とは相容れない矛盾した性格のものと言わざるを得ない。日本国憲法は、戦争放棄・厚い刑事人権保障規定など大局的に見れば大変良くできた最高法規であると思うが、天皇制については憲法自らが差別的制度・規定を抱え込む結果となっている。

 以上から考察にするに、憲法14条のみを取り出して皇室典範1条は「女性差別」だから違憲だなどと主張するのは不十分である。「男性」ですら差別されているのだから。じゃあ、皇室典範1条は合憲なのか違憲なのかということだが、私個人としてはそんな些末なことはどうでもいい。敢えて又は無理に、憲法と皇室典範の整合的解釈を施そうとすれば、私は皇室典範は合憲であると解する。なぜなら、憲法自体が天皇という特殊な地位・制度を規定し、憲法14条と矛盾対立しながらも憲法14条の極めて例外として天皇という地位・制度を残存させているのだから、その天皇条項に関する具体化立法である皇室典範に皇位継承資格上の差別規定があったとしても天皇条項自体が14条の極めて例外的な差別規定なのだから、皇位継承資格上の差別もまた14条の例外(射程外)と解するべきだろう。

 昨今は、「お世継ぎ」(←江戸時代か?)が生まれないというので何とか天皇制を存続するというご都合主義によって「女性天皇」誕生を容認するために皇室典範を改正せよなどと言われているが、本質を捉えれば、現代において国の最高法規に天皇を規定する必要があるのか、天皇制を存続する必要があるのかという議論こそなされてしかるべきだろう。戦前・戦中から一貫して天皇を政治利用しようとする連中がいるのも、明治憲法以後、天皇が最高法規に組み込まれたからだ。天皇を文化財として残そうという議論には一考の余地がないとまでは言わないが、現行憲法上の内在的な矛盾であることは確かだろう。

 「皇室典範」違憲→「女性天皇認めろ」というご都合主義の単純化された些末な話はうんざりだ。

【TB/リンク】

法の下の平等と皇位継承(1)

http://kazz.exblog.jp/347944/
http://ch.kitaguni.tv/u/6683/%c5%b7%b9%c4%c0%a9%c5%d9/0000147980.html
posted by 闘うリベラル at 16:16| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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